ブログ一覧へ戻る

トイレ

家の安全対策

地震の後、トイレは流してもいい?排水管を確認するまでの対応

そなえカルテ編集部

2026/7/26

大きな地震の直後は、水が出ても安全が確認されるまでトイレを流さないことが重要です。建物内の排水管や下水道管が破損していると、汚水の漏れ、詰まり、逆流を起こすおそれがあります。

東京都下水道局「災害時のトイレの使用について」

最初にすること

  1. トイレを流さない

  2. 便器や床のひび、漏水、異臭を確認する

  3. 自治体の下水道使用制限を確認する

  4. 集合住宅では管理会社・管理組合の案内を待つ

  5. 確認が終わるまで携帯トイレを使う

「断水していない」「浴槽に水がある」という理由だけで流してはいけません。給水と排水は別の設備です。

なぜ「水がある」だけでは流せないのか

配管などが破損していると、下水が詰まって汚水が逆流したり、破損した箇所から噴き出したりするおそれがあります。給水管が無事でも、排水管が壊れていれば、流した水と一緒に汚水があふれ出す可能性があります。東京都下水道局「災害時のトイレの使用について」

災害時に起こりうる事態とトイレへの影響

内閣府のガイドラインでは、災害時に起こりうる事態とトイレへの影響を次のように整理しています。

起こりうる事態

トイレへの影響

断水・屋内給水管の凍結などによる破損

水が流せない、手が洗えない

停電

戸別浄化槽のブロアーが止まると水洗トイレが使えない。マンションなどでは水が汲み上がらず水洗トイレが使えないことがある

下水道・浄化槽の破損

水が確保できても、排水先が壊れていれば水洗トイレの使用を中止する必要がある

大雨・洪水・高潮による浸水の継続

浄化槽への逆流や、下水処理場の機能停止のおそれがある

内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」

このように、トイレが使えなくなる原因は断水だけではありません。停電だけでも、マンションなど揚水にポンプを使う建物では水洗トイレが使えなくなることがあります。地震直後は、水が出るかどうかにかかわらず、まず携帯トイレを使う判断が安全です。

マンションでは下階への影響がある

集合住宅の排水管は複数の住戸でつながっています。上階から流した汚水が、破損箇所や下階の便器からあふれる可能性があります。自宅内に目立った異常がなくても、建物全体の点検結果を確認してください。

詳しい備えはマンションで断水したらトイレはどうする?でも解説しています。

流せると案内された後も少量から確認する

自治体や管理者から使用可能と案内されても、建物固有のルールがあれば従います。節水や流し方について指示がある場合もあります。自己判断で大量の浴槽水を流すのは避けてください。

排水設備の修理は自宅の負担になることも

東京都下水道局は、宅地内の排水設備は利用者の財産であり、災害時であっても修理や維持管理は所有者の費用負担で行う必要があるとしています。東京都下水道局「災害時のトイレの使用について」

公共の下水道が復旧しても、自宅内の排水管が壊れていれば個別の修理が必要です。排水設備の点検・修理は、専門の指定工事店に相談してください。復旧までの期間は携帯トイレでの生活が続く可能性があることを踏まえ、余裕を持った備蓄を心がけましょう。

トイレを我慢すると健康リスクが高まる

内閣府のガイドラインでは、過去の震災でトイレを我慢したことが健康被害につながった事例が紹介されています。

  • 阪神・淡路大震災では、約900人が震災関連死として認定されており、死亡原因の3割程度が心筋梗塞や脳梗塞でした。トイレを我慢して水分や食事を控えたことが、血流の悪化や心臓への負担につながったと指摘されています。

  • 新潟県中越地震では、「トイレが不安で水を飲むことを控えた」と答えた人が、小千谷市で33.3%、川口町で13.8%にのぼりました。死者60人のうち半数近くが震災関連死といわれており、ストレスや不眠に加え、トイレを我慢したことも一因とされています。

内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」

「トイレを流せるかどうか分からないから我慢する」のではなく、確認が取れるまでは迷わず携帯トイレを使うことが、健康を守る行動につながります。

平常時に用意するもの

  • 携帯トイレ:1人1日5回を基準に最低3日、できれば7日分

  • 便袋と凝固剤

  • 防臭用の外袋

  • 使い捨て手袋

  • トイレットペーパーと手指衛生用品

必要数は非常用トイレの人数別・日数別の備蓄目安で計算できます。凝固剤以外に必要な用品は非常用トイレと一緒に必要なもの、使い方は平常時に実際に試しておくと安心です。

よくある質問

断水していなければトイレを流してもよいですか?

断水していなくても、排水管や下水道が壊れていれば流せません。給水と排水は別の設備なので、水が出ることと流せることは分けて考えてください。

排水管の安全確認にはどれくらい時間がかかりますか?

建物や被害状況によって異なり、数時間で確認できる場合もあれば、数日かかる場合もあります。確認が終わるまでは携帯トイレを使い続けてください。

一戸建てでも同じ対応が必要ですか?

一戸建てでも、宅地内の排水管や敷地外の下水道が破損していれば同様のリスクがあります。マンションほど他住戸への影響は大きくありませんが、自宅の排水設備の点検が終わるまでは携帯トイレを使用してください。

まとめ

地震後は「水があるか」ではなく「排水設備が安全か」で判断します。自治体や建物管理者の確認が取れるまで流さず、携帯トイレを使用してください。過去の震災では、トイレを我慢したことが健康被害につながった例もあります。確認を待つあいだも、我慢せず携帯トイレを使いましょう。