トイレ
非常用トイレは何回分必要?人数別・日数別の備蓄目安
そなえカルテ編集部
2026/7/19
地震や台風などの災害では、断水だけでなく、排水管や下水道設備の損傷によって自宅のトイレが使えなくなることがあります。
非常用トイレの備蓄量は、1人あたり1日5回分を基準に計算するのが一般的です。最低でも3日分、できれば1週間分を用意しておきましょう。
この記事では、世帯人数ごとに必要な非常用トイレの数と、購入時に確認したいポイントを解説します。
結論:1人あたり35回分を目安に備える
経済産業省は、成人の平均的な排泄回数を1日5回とし、非常用トイレを1人あたり1週間で35回分備蓄することを推奨しています。政府広報オンラインでは、より余裕を持たせた「1日5~6回×人数×7日分」という目安も示されています。内閣府防災情報のページ
基本的な計算式は次のとおりです。
1日5回 × 世帯人数 × 備蓄する日数
まず3日分を用意し、その後1週間分まで増やしていくと負担を抑えられます。
世帯人数 | 最低3日分 | 1週間分 |
|---|---|---|
1人 | 15回分 | 35回分 |
2人 | 30回分 | 70回分 |
3人 | 45回分 | 105回分 |
4人 | 60回分 | 140回分 |
5人 | 75回分 | 175回分 |
例えば2人暮らしなら、最低30回分、できれば70回分が目安です。
排泄回数には個人差があります。トイレが近い人や家族構成などを考慮し、必要に応じて多めに用意してください。
最低3日分、できれば1週間分を備える
東京都は、携帯トイレについて1日5個×3日分×家族の人数を最低限の備蓄目安とし、1週間分の備蓄を勧めています。4人家族なら最低60回分、1週間分なら140回分です。広報東京都
最初から1週間分を購入するのが難しい場合は、次の順番で増やすとよいでしょう。 1. まず3日分を用意する 2. 保管場所を決める 3. 1週間分まで買い足す 4. 使用期限を定期的に確認する
非常用トイレは水や食料ほど場所を取らないため、比較的備蓄しやすい防災用品です。
災害時にトイレが使えなくなる理由
水道が止まっても、浴槽の水を使えばトイレを流せると思うかもしれません。しかし、大きな地震では下水道管や建物内の排水管が破損している可能性があります。
破損に気付かず水を流すと、汚水が詰まったり、別の場所から逆流したりするおそれがあります。特にマンションでは、上階から流した汚水が下階のトイレなどからあふれ出す可能性があります。東京都下水道局
地震後は、次の点が確認できるまで、すぐにトイレを流さない方が安全です。 - 下水道の使用制限が出ていない - 建物内の排水管が破損していない - 管理会社や自治体から使用可能と案内されている
マンションでは、管理会社や管理組合の案内を確認し、排水管の安全が確認されるまでは携帯トイレを使用しましょう。東京消防庁
トイレを我慢することによる健康リスク
使えるトイレが少ない、汚れている、周囲の目が気になるといった理由から、飲食や排泄を我慢してしまうことがあります。
しかし、水分や食事を控えると、脱水や栄養状態の悪化などにつながるおそれがあります。内閣府と経済産業省も、トイレを我慢することによる健康被害を防ぐため、平時から災害用トイレを備えることが重要だとしています。内閣府防災情報のページ
非常用トイレは、単なる便利グッズではありません。災害時の健康を守るための基本的な備蓄品です。
携帯トイレと簡易トイレの違い
家庭向けの災害用トイレには、主に「携帯トイレ」と「簡易トイレ」があります。
携帯トイレ
携帯トイレは、便器に便袋を取り付け、排泄後に凝固剤や吸水シートで水分を固めるものです。
自宅の洋式便器をそのまま利用でき、保管場所もあまり必要としません。家庭で最初に備えるなら、このタイプが扱いやすいでしょう。内閣府防災情報のページ
簡易トイレ
簡易トイレは、折りたたみ式や組み立て式の便座に便袋を取り付けて使用します。
便器が壊れている場合や、トイレ以外の場所に設置する場合に役立ちます。ただし、設置スペースや周囲から見えない環境が必要です。内閣府防災情報のページ
自宅の便器が使える可能性が高い家庭では携帯トイレを中心に備え、必要に応じて組み立て式の簡易トイレを追加するとよいでしょう。
非常用トイレを選ぶときの確認ポイント
商品によって、セットに含まれるものや防臭性能などが異なります。
購入時には、次の点を確認してください。
必要な回数分が入っているか
商品名に「50回分」「100回分」などと記載されています。
世帯人数と日数から必要数を計算し、1週間分を確保できるセットを選びましょう。
便袋と凝固剤がセットになっているか
一般的な携帯トイレには、次のものが必要です。 - 排泄物を受ける便袋 - 水分を固める凝固剤または吸水シート - 使用後の便袋を保管する外袋
外袋まで付属している商品なら、臭いや水分漏れへの対策がしやすくなります。内閣府防災情報のページ
防臭対策があるか
使用済みの便袋は、ごみ収集が再開するまで家庭で保管する可能性があります。
防臭性能のある袋や、袋を二重に密閉できる構成か確認してください。消臭剤や中身が見えない袋も用意しておくと管理しやすくなります。東京都の防災資料では、使用済み便袋の保管に備え、手袋、消臭剤、凝固剤、チャック付き袋や中身が見えない袋などを準備することが挙げられています。東京都防災ホームページ
使用期限を確認する
凝固剤には使用期限があります。
商品ごとに期限が異なるため、購入日と期限を箱の見える位置に書いておきましょう。内閣府の業務継続ガイドラインでは、凝固剤の使用期限として7~10年程度の例が示されています。内閣府防災情報のページ
自宅の便器に取り付けやすいか
便袋のサイズや取り付け方も確認しましょう。
災害発生後に説明書を初めて読むのではなく、平常時に1回だけ取り付け方を試しておくと安心です。実際に排泄する必要はなく、便座へ袋を取り付け、外すところまで確認すれば十分です。
非常用トイレの基本的な使い方
商品の説明書によって手順は異なりますが、一般的には次のように使用します。 1. 便器の水が残っている場合は、便袋が水に触れないようにする 2. 便器に便袋を取り付ける 3. 袋の中に排泄する 4. 説明書に従って凝固剤を使用する 5. 袋の空気を抜いて口を固く結ぶ 6. 必要に応じて防臭袋や外袋へ入れる 7. 自治体の案内に従って処分する
携帯トイレは、便袋の中の水分を凝固剤や吸収シートで安定させ、使用後に袋を密閉する仕組みです。凝固剤を入れるタイミングは商品によって異なるため、必ず付属の説明書を確認してください。内閣府防災情報のページ
使用済みトイレの保管場所も決めておく
非常用トイレを購入しても、使用後の袋をどこに置くか決めていないと困ります。
1人が1週間使用すると、約35袋の排泄ごみが発生します。4人家族なら約140袋です。ごみの収集再開まで数日かかる可能性もあるため、生活空間から離せる場所や、密閉容器などを検討しておきましょう。東京都防災ホームページ
ただし、集合住宅の共用廊下や避難経路には置けません。保管場所やごみの処分方法について、自治体やマンション管理組合のルールも確認してください。
使用済みの便袋は、自己判断で通常のごみに出さず、災害時に自治体から示される回収・分別方法に従います。東京都の避難生活支援資料でも、使用済み携帯トイレの保管場所と回収方法を事前に確保する重要性が示されています。東京都防災ホームページ
非常用トイレと一緒に備えたいもの
非常用トイレ本体だけでなく、衛生管理に必要な用品も用意しましょう。 - トイレットペーパー - 手袋 - 手指消毒液 - ウェットティッシュ - 消臭剤 - 防臭袋 - 中身が見えないごみ袋 - トイレ用のランタンやライト
政府広報オンラインでも、携帯トイレとあわせて、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、消毒液、消臭剤などを備えることが紹介されています。政府広報オンライン
停電するとトイレ内が暗くなるため、両手を使えるランタンや人感センサーライトがあると便利です。
よくある間違い
水があればトイレを流せると思っている
排水管が破損していれば、水があっても流してはいけません。
特にマンションでは、下階への汚水逆流を防ぐため、排水設備の安全が確認されるまで携帯トイレを使います。東京都下水道局
凝固剤だけを用意している
凝固剤だけでは使用できません。
便袋、防臭用の外袋、手袋なども含まれているか確認してください。
家族全員で1箱あれば足りると思っている
「50回分」と書かれた商品でも、4人家族では2日半程度しか持ちません。
50回÷4人÷1日5回=2.5日分
購入時には、商品箱の回数だけでなく、世帯人数で何日使えるか計算しましょう。
家族構成によって必要回数を調整する
「1日5回」はあくまで成人の平均的な目安です。次のような家族がいる場合は、基準の回数より多めに見積もってください。
乳幼児:おむつ交換とは別に、トイレトレーニング中の子どもは回数が読みにくい(乳幼児がいる家庭の防災グッズ)
高齢者:頻尿や持病により回数が多くなることがある(高齢者がいる家庭の防災用品)
体調不良時:下痢や体調不良が重なると、平常時より使用回数が増える
家族の中に該当する人がいる場合は、計算式の回数を「5回」から実際の使用回数に置き換えて、多めに備蓄しておくと安心です。
よくある質問
洋式トイレがない家(和式のみ)でも使えますか?
携帯トイレの多くは洋式便器への取り付けを前提に作られています。和式トイレしかない家庭や、便器が破損した場合に備え、携帯トイレと簡易トイレの違いを確認し、組み立て式の簡易トイレも検討してください。
何回分あれば「1週間安心」と言えますか?
1人あたり35回分(1日5回×7日)が目安です。ただし前述のとおり家族構成で必要数は変わるため、備蓄した回数を家族の人数と使用実態で割り、実際に何日分になるか計算し直すことをおすすめします。
使用後の便袋はいつまで保管する必要がありますか?
自治体のごみ収集や下水道の復旧状況によって異なります。収集再開まで自宅で保管する前提で、使用済み非常用トイレの保管場所を確認し、密閉性の高い保管方法を用意してください。
まずは3日分を用意する
非常用トイレは、1人1日5回分を基準にします。
1人暮らしなら、最低15回分、できれば35回分。
2人暮らしなら、最低30回分、できれば70回分。
4人家族なら、最低60回分、できれば140回分です。
まずは3日分を確保し、その後1週間分まで増やしてください。
非常用トイレは、災害が発生してから入手しようとしても、品切れになる可能性があります。平常時に必要数を計算し、家族全員が保管場所と使い方を確認しておきましょう。