家の安全対策
耐震マットと突っ張り棒はどちらがよい?家具別の使い分け
そなえカルテ編集部
2026/7/20
耐震マットと突っ張り棒は対象が異なります。耐震マットは小型家電などの滑り・転倒抑制、突っ張り棒は背の高い家具の上部固定の補助に使います。大型家具では一種類だけに頼らず、家具・壁・天井に合う複数の方法を組み合わせます。
単体使用には限界がある
東京都が実施した家具転倒防止器具の商品テストでは、震度6強相当の地震波を使った実験で、単体の転倒防止器具を取り付けた検体の多くが転倒するか、30cm以上大きく移動する結果となりました。パッケージに「震度7相当に対応」といった表示がある製品でも、実験条件によっては期待した効果が得られなかったことが報告されています。一方で、同じ家具でも上下(例えば天井側の突っ張り棒と底面のストッパー)を組み合わせて使用した場合は、震度6強相当でも移動が10cm以下に抑えられたケースが確認されています。
このテスト結果からも分かるとおり、突っ張り棒や耐震マットを一種類だけ設置して安心するのではなく、家具の特性に応じて複数の方法を組み合わせることが重要です。
耐震マットが向くもの
テレビなど底面が平らな小型家電
電子レンジなど製品説明で使用可能な機器
棚上の置物
対象物の重量、底面素材、設置面に対応する製品を選びます。ほこりや油分、凹凸のある面では接着力が低下します。経年劣化するため定期交換が必要です。テレビへの適用についてはテレビの転倒防止対策も参考にしてください。
突っ張り棒が向くもの
天井との隙間が小さい背の高い家具
上面が十分に強く平らな家具
天井側にも強度がある場所
家具の両端、壁に近い奥側へ垂直に取り付けます。弱い天井材へ直接当てる場合や隙間が大きい場合は十分な効果を得られないことがあります。
東京消防庁は、ポール式(突っ張り棒)とストッパー式を組み合わせて使用すると、L字金具による固定と同等の高い効果が得られるとしています。突っ張り棒を使う場合は、単体ではなく下部のストッパーとの併用を基本に考えてください。
東京消防庁「地震に備える~家具類の転倒・落下・移動防止対策~」
器具ごとの比較
器具 | 向く家具 | 効果の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
L字金具 | あらゆる家具(壁の下地が使える場合) | 単体で高い効果 | 賃貸では施工しにくい、下地探しが必須 |
突っ張り棒+ストッパー | 背の高い収納家具・食器棚 | L字金具と同等の効果が期待できる | 単体使用では効果が不十分になりやすい |
突っ張り棒単体 | 補助的な用途 | 単体では転倒・大きな移動を防げないことがある | ストッパーや粘着マットとの併用を前提にする |
耐震マット単体 | 小型家電・軽量品 | 滑り・転倒の抑制 | 重量物や背の高い家具には力不足 |
組み合わせが基本
背の高い家具には、上部をL字金具や突っ張り棒で固定し、下部へストッパーを入れるなど、上下を組み合わせます。可能であれば壁の下地へ金具で固定する方法を優先します。
冷蔵庫のような重量物では、耐震マット単体では十分な効果を得にくいため、上部を壁側へベルトで連結する方法を優先してください。詳しくは冷蔵庫の転倒防止対策で解説しています。
賃貸住宅の場合
穴を開けられない場合も、自己判断で効果の不明な器具へ置き換えず、管理会社へ相談します。家具の配置変更や背の低い家具への買い替えも有効です。
突っ張り棒とストッパー式の組み合わせは、壁や天井に穴を開けずに施工できるため、賃貸住宅でも選びやすい方法です。ただし天井材の強度によっては十分な効果を得られないことがあるため、天井の状態も確認してください。
よくある失敗
突っ張り棒だけを取り付けて満足し、下部のストッパーを併用しない
家具の重量や高さに合わない器具を選ぶ
設置後、一度も押して確認せず緩みに気づかない
天井や壁の強度を確認せずに設置する
よくある質問
突っ張り棒だけでも地震対策として意味がありますか?
まったく効果がないわけではありませんが、東京都の商品テストでは単体使用で転倒や大きな移動を防げなかった例が報告されています。ストッパーなど下部の対策と組み合わせることを基本にしてください。
耐震マットと突っ張り棒は同じ家具に併用できますか?
はい、家具の上部に突っ張り棒、底面に耐震マットやストッパーを組み合わせる使い方は有効です。上下それぞれの役割が異なるため、併用すると効果を高めやすくなります。
どちらか一つしか買えない場合はどちらを優先すべきですか?
家具の高さと重さによります。背が高く天井に近い家具は突っ張り棒、テレビなど底面が平らな小型家電は耐震マットが向いています。判断に迷う場合は、壁の下地が使えるならL字金具による固定を優先してください。
まとめ
耐震マットは小型物、突っ張り棒は背の高い家具に向きますが、いずれも単体使用には限界があります。対象重量と取付面を確認し、部屋全体の転倒防止では配置変更と複数器具の組み合わせを基本にしましょう。