家の安全対策
高齢者がいる家庭で追加したい防災用品と避難計画
そなえカルテ編集部
2026/7/26
高齢者がいる家庭では、一般備蓄に加え、薬、補助具、食べやすい食品、排泄・口腔ケア、暑さ寒さへの対策、介助方法を個別に準備します。本人と支援者が内容を共有することが大切です。
医療と情報
処方薬とお薬手帳
持病、アレルギー、医療機関の連絡先
眼鏡、補聴器、予備電池
血圧計など普段必要な機器
健康保険・介護情報の控え
薬の日数や停電時の医療機器対応は主治医、薬剤師、ケアマネジャー、メーカーへ確認します。常備薬は普段から少し多めに手元へ持ち、常備薬・医薬品の備蓄の考え方に沿って処方サイクルと在庫を管理すると、災害時に薬が切れる不安を減らせます。在宅酸素や電動ベッドなど電源が必要な医療機器を使っている場合は、停電時の対応(予備バッテリー、代替電源、緊急連絡先)をあらかじめメーカーや医療機関と取り決めておきます。
食事と水分
かむ・飲み込む力に合う食品、介護食、とろみ剤、使い慣れた食器を用意します。普段と違う硬さの非常食は食べられないことがあります。医師から水分・塩分制限を受けている場合は個別に相談します。
一般的な非常食はかたい、大きい、パサつくといった理由で高齢者には食べにくいことがあります。普段から介護食やレトルトのやわらか食を試食しておき、災害時に初めて口にすることがないようにします。水分摂取を控えがちな高齢者もいますが、脱水は体調悪化につながるため、水はどれくらい備蓄すればよい?の目安を踏まえつつ、普段の水分摂取量を維持できるよう声かけの方法も家族間で共有しておきます。
排泄と衛生
大人用おむつ、尿取りパッド
携帯トイレ、ポータブルトイレ
防臭袋、手袋、体拭きシート
入れ歯用品、口腔ケア用品
必要数は普段の交換回数×7日を基準に見積もります。断水時はトイレの水が流せなくなるため、携帯トイレは1人何回分備蓄すればいい?や携帯トイレと簡易トイレの違いを参考に、ポータブルトイレと携帯トイレの組み合わせを検討してください。口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防にもつながるため、水が使えない状況でも歯みがきシートなどで清潔を保てるよう備えます。詳しくは断水中の口腔ケアも参考にしてください。
避難と移動
杖、歩行器、車いすをすぐ使える場所に置き、段差と避難経路を確認します。地域の個別避難計画や避難行動要支援者名簿について自治体へ相談し、近隣の協力者も決めます。
避難行動要支援者名簿は、自ら避難することが困難な高齢者や障害者等を対象に市町村が作成するもので、平成25年(2013年)の災害対策基本法改正により作成が市町村の義務とされています。これに加えて、令和3年(2021年)の同法改正では、名簿に登録された一人ひとりについて、避難を支援する人や避難先などを具体的に定める「個別避難計画」の作成が市町村の努力義務となりました。本人や家族から自治体へ相談することで、この計画づくりに関わることができます。
福祉避難所という選択肢
一般の避難所での生活が難しい場合の受け皿として、高齢者や障害者など特に配慮が必要な人を対象とする「福祉避難所」が制度化されています。福祉避難所は災害発生後すぐに開設されるとは限らず、一般の避難所を経由してから案内される地域が多いため、事前にお住まいの自治体へ、対象者の条件や利用の流れを確認しておくと安心です。
季節と体調管理
高齢者は暑さ・寒さを感じにくく、エアコンを使わずに熱中症になったり、厚着をせず低体温になったりすることがあります。エアコンが使えない夏の暑さ対策や暖房が使えない冬の寒さ対策も参考に、季節ごとの用品を見直してください。血圧や持病の管理が必要な人は、環境の変化そのものが体調に影響することも念頭に置き、避難生活が長引く場合は早めに医療・介護の相談窓口へつなぐことが大切です。
家族・支援者との共有事項
服薬内容、持病、かかりつけ医の連絡先を書いたメモを本人と支援者の両方が持つ
補聴器・眼鏡・入れ歯など、本人にしか分からない必需品の保管場所を共有する
一人で避難できない場合の同行者と経路を決めておく
福祉避難所や個別避難計画について自治体の窓口で相談した内容を家族で共有する
よくある質問
個別避難計画は誰が作るのですか?
市町村が作成の努力義務を負いますが、本人・家族・ケアマネジャーなど支援に関わる人と相談しながら作られます。避難支援者や避難先を具体的に決めておく計画なので、心当たりがない場合は自治体の福祉担当や地域包括支援センターへ相談してください。
福祉避難所には誰でもすぐに避難できますか?
福祉避難所は高齢者や障害者など特に配慮が必要な人を対象としていますが、多くの場合、まず一般の避難所に避難したうえで、必要性に応じて案内される仕組みです。開設のタイミングや対象条件は自治体によって異なるため、事前の確認が欠かせません。
一人暮らしの高齢者はどこから備えを始めればよいですか?
まず薬とお薬手帳、眼鏡や補聴器など本人にしか用意できない物を優先し、次に水・食料・トイレの3日分をそろえます。一人暮らしの防災グッズや防災グッズを一度に買わずに揃える方法も参考に、無理のない範囲で少しずつ準備を進めてください。
まとめ
高齢者の備えは薬、補助具、食事、排泄、移動を個別に整えます。本人の希望を確認し、支援者と一覧を共有して、季節ごとに内容を更新しましょう。個別避難計画や福祉避難所についても、早めに自治体へ相談しておくと、いざというときの選択肢が広がります。