衛生・救急
断水時に体を清潔に保つ方法と必要な衛生用品
そなえカルテ編集部
2026/7/26
断水時は入浴できなくても、手、口、排泄まわり、皮膚の汚れやすい部分を優先して清潔を保ちます。限られた水を飲用から衛生へ無計画に使わないよう、平常時に水を使わない用品を備えておきます。
なぜ衛生管理を優先するのか
断水や避難生活が続くと、水が使えないことに加え、大勢が同じ空間で過ごすことで感染症が広がりやすくなります。厚生労働省は、災害時における避難所での感染症対策として、手洗いによって自分がかからないようにすること、咳エチケットなどで他人にうつさないようにすることを呼びかけています。流水が使えない場合はアルコール手指消毒薬を使うことも案内されており、断水時の衛生管理は「清潔にしたい」という気持ちの問題ではなく、感染症を広げないための具体的な対策です。
手指衛生
食事前、調理前、トイレ後、傷の手当て前後を優先します。水が使えない場合は手指消毒剤やウェットティッシュを使いますが、目に見える汚れが多いときは拭き取ってから製品表示に従います。避難所では出入口やトイレの近くに手指消毒剤を置き、家族や周囲の人が使いやすい場所に配置すると効果的です。マスクや手袋との使い分けはマスク・手袋・消毒用品の備蓄も参考にしてください。
清潔にする順番の考え方
限られた水と用品を無駄にしないために、汚れやすく感染のリスクが高い部分から優先して手入れをする考え方が役立ちます。
手指(食事・排泄のたびに)
口の中(少なくとも毎食後)
顔、首、脇など汗や皮脂がたまりやすい部分
手足の先や関節部分
衣類・寝具(可能な範囲で)
全身をまんべんなく拭こうとすると水や用品が早く尽きてしまうため、汚れの残りやすい部位から優先的に手当てします。
体を拭く
大判の体拭きシート
清潔な布と少量の水
ドライシャンプー
着替えと下着
首、脇、手足、陰部など汚れやすい部分から行い、皮膚を強くこすりすぎないようにします。乳幼児、高齢者、皮膚疾患のある人は皮膚状態をこまめに確認してください。汗をかきやすい季節は特に、あせもや皮膚トラブルが起きやすいため、こまめな拭き取りと着替えを心がけます。
口の清潔を保つ
歯磨きを控えると口内環境が悪化します。少量の水をコップに分け、歯ブラシを濡らして磨く方法や、口腔ケア用シートを備えます。詳しくは災害時の口腔ケアを参照してください。
トイレとごみを分けて管理する
使用済み携帯トイレ、おむつ、生理用品、食品ごみは密閉し、生活空間から離して管理します。手袋を外した後も手指を清潔にします。トイレそのものの備え方は非常用トイレは何回分備蓄すべき?、密閉用のごみ袋の選び方はごみ袋は防災に役立つ?を確認してください。マンションなど排水設備が使えない住まいではマンションの断水時トイレ対策も参考になります。
飲料水と生活用水を分けて考える
備蓄した水をすべて飲用と衛生の両方に使ってしまうと、どちらかが早く不足します。飲む・料理に使う水と、手や体を拭く・簡単に洗い流すための生活用水を、置き場所や容器を分けて管理すると、無計画な消費を防ぎやすくなります。使いかけの水は雑菌が入りやすいため、飲用に使った容器を衛生用に転用する場合は用途をはっきり分けてください。
家族構成に応じた注意点
乳幼児:おむつかぶれを防ぐため、おしりを拭く回数を減らさず、可能であれば通気を意識する
高齢者:皮膚が薄く傷つきやすいため、強くこすらず、床ずれの原因になる部分は特に注意して観察する
持病・皮膚疾患がある人:普段使用しているケア用品を優先的に備蓄し、体調の変化があれば早めに医療者へ相談する
備えておく用品
手指消毒剤
ウェットティッシュ・体拭きシート(詳しくはウェットティッシュと体拭きシートの備蓄)
マスクと使い捨て手袋
歯ブラシ、口腔ケア用品
ドライシャンプー
ごみ袋、防臭袋
生理用品、おむつなど家族固有品
よくある質問
お風呂に入れない期間、体はどのくらい放置しても大丈夫ですか?
明確な日数の基準はありません。汗や汚れがたまりやすい首、脇、手足、排泄まわりを毎日拭くだけでも、皮膚トラブルの予防につながります。全身を洗えなくても、部分的な清潔を続けることを優先してください。
手指消毒剤とウェットティッシュはどちらを優先すべきですか?
目に見える汚れがある場合は、まずウェットティッシュなどで拭き取ってから手指消毒剤を使うと効果的です。汚れが少ない場合は手指消毒剤だけでも構いません。両方を用途別に備えておくと状況に応じて使い分けられます。
洗濯できないとき、下着や衣類はどうすればよいですか?
洗濯用の水が確保できない間は、替えの下着や衣類を多めに備えておき、こまめに交換することを優先します。使用済みの衣類は密閉できる袋に分けて保管してください。
まとめ
断水時は全身を洗うことより、手、口、排泄、皮膚トラブルの予防を優先します。感染症対策としての手指衛生を意識し、衛生用品を用途別にまとめ、飲料水とは別に少量の生活用水も確保しましょう。