衛生・救急
災害時の歯磨きはどうする?水を節約する口腔ケア
そなえカルテ編集部
2026/7/26
災害時も口の清潔を保つことは大切です。水が少ないからと歯磨きをやめず、少量の水、歯ブラシ、口腔ケアシートを使い分けます。特に高齢者は、口内の汚れが健康へ影響する可能性があるため注意します。
なぜ災害時にこそ口腔ケアが重要なのか
避難生活が続くと、水分摂取や食事の量が減り、緊張やストレスで唾液の分泌も落ちやすくなります。唾液には口の中の汚れを洗い流し、細菌の増殖を抑える働きがあるため、唾液が減ると口内環境が悪化しやすくなります。歯磨きの回数が減ることも重なり、平常時よりも口腔内が不衛生になりやすいのが災害時の特徴です。特に高齢者や体力が落ちている人にとって、口内の細菌が増えた状態は健康リスクにつながりうるため、「水がないから仕方ない」とあきらめず、できる範囲のケアを続けることが重要です。日本歯科医師会も、災害時の歯みがき方法などの啓発資料を公開し、避難生活中の口腔ケアの継続を呼びかけています。
水の量に応じたケア方法
水の使える量によって、できるケアの方法は変わります。状況に合わせて選べるよう、家族で確認しておきましょう。
水の状況 | 主な方法 |
|---|---|
コップ1杯程度は使える | 歯ブラシを濡らして磨き、少量の水で数回に分けてすすぐ |
ごくわずかしかない | 口腔ケア用シートやガーゼで歯・粘膜を拭く、うがいは最小限にする |
ほとんど使えない | 拭き取りケアを中心にし、よくかんで唾液を促す |
どの段階でも、歯ブラシによる物理的な清掃に代わるものはありません。水が使える状況になったら、シートやうがいだけに頼らず、歯ブラシでの清掃に戻します。
少量の水で歯を磨く
清潔なコップへ少量の水を分ける
歯ブラシを濡らして磨く
汚れた歯ブラシをティッシュなどで拭く
残りの水で数回に分けて口をすすぐ
飲料水の容器へ歯ブラシを直接入れないでください。家族でコップや歯ブラシを共用しません。
水がほとんどない場合
口腔ケア用シートで歯や粘膜を拭く
清潔なガーゼや布を指へ巻いて拭く
唾液を出すためによくかむ
入れ歯も可能な範囲で清潔にする
液体歯磨きや洗口液だけで歯の付着物がすべて取れるわけではありません。歯ブラシが使える状況になれば、物理的に汚れを落とします。
入れ歯のケアを忘れない
入れ歯も自分の歯と同様に汚れがたまります。専用のブラシがなくても、清潔な布やガーゼで表面をこすって食べかすを落とし、可能であれば少量の水ですすぎます。就寝時に外す習慣がある人は、外した入れ歯を乾燥させすぎないよう、ケースに保管する普段の方法を維持してください。入れ歯洗浄剤を使う場合は用法に従い、水が十分に確保できない状況では無理に使用せず、拭き取りケアで代用します。
子どもの口腔ケア
子どもは仕上げ磨きの習慣が崩れやすく、甘い飲食物が増える避難生活では虫歯のリスクも上がります。水が限られていても、食後に口をすすぐ、ガーゼで歯を拭くなど、できる範囲のケアを続けます。哺乳瓶や乳幼児用品の備えは乳幼児がいる家庭の防災グッズも参考にしてください。
支援が必要な人に注意する
飲み込みに不安がある人へ大量の水を使うと、むせる危険があります。普段の介助方法を確認し、体調に異変があれば医療・介護職へ相談してください。高齢者がいる家庭での備えは高齢者がいる家庭の防災用品にもまとめています。
備蓄するもの
家族各自の歯ブラシ
小さなコップ
口腔ケア用シート
液体歯磨き・洗口液(使い慣れたもの)
入れ歯用品
ティッシュ、ごみ袋
持ち出し袋にも歯ブラシを入れ、断水時の衛生用品と一緒に半年ごとに点検します。
よくある質問
歯磨き粉がなくても歯磨きの効果はありますか?
はい。虫歯や歯周病の予防で重要なのは、歯ブラシで汚れを物理的に落とすことです。歯磨き粉がなくても、水で濡らした歯ブラシで磨くことに一定の効果があります。歯磨き粉は最小限の水で仕上げに使う、または省略しても構いません。
何日も歯を磨けない場合、何が起こりますか?
個人差がありますが、口内の細菌が増え、口臭や歯ぐきの腫れ、虫歯や歯周病の悪化につながる可能性があります。特に体力の落ちている人や高齢者は、口内の状態が全身の健康に影響しうるため、拭き取りだけでもよいのでケアを継続してください。
うがい薬だけで歯磨きの代わりになりますか?
うがい薬や洗口液は口内の細菌を減らす助けにはなりますが、歯に付着した汚れを物理的に落とす効果は歯ブラシに劣ります。水が使える状況になったら、うがいだけに頼らず歯ブラシでの清掃を再開してください。
まとめ
水が限られていても、少量の水と歯ブラシ、拭き取り用品で口腔ケアを続けます。歯ブラシを家族分備え、入れ歯や介助が必要な人、子どもの口腔ケア方法も事前に決めましょう。