水・食料
災害時に不足しやすい栄養は?非常食を選ぶときのポイント
そなえカルテ編集部
2026/7/20
非常食を主食だけでそろえると、炭水化物に偏り、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。農林水産省の家庭備蓄ガイドも、主食・主菜・副菜を組み合わせ、栄養バランスを考えるよう案内しています。
農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド・栄養バランスを考える」
主食だけにしない
アルファ化米、乾麺、パンはエネルギー源として重要ですが、それだけでは食事が単調になります。次のように役割を分けます。
役割 | 備蓄例 |
|---|---|
主食 | 米、麺、パン、シリアル |
主菜 | 魚・肉・豆の缶詰、レトルト食品 |
副菜 | 野菜缶、乾物、野菜ジュース |
補助 | 果物缶、ナッツ、栄養補助食品 |
1食ごとに完璧を求めるのではなく、1日を通して主食・主菜・副菜が入るようにします。組み合わせの具体例は防災用の食料は何を備える?家庭向け非常食リストを参照してください。
国が示す栄養の目安量
厚生労働省は、東日本大震災の発生から1か月後、避難所での食事提供の計画・評価にあたっての当面の目標として、次の栄養の参照量を示しました(1歳以上、1人1日当たり)。
栄養素 | 参照量 |
|---|---|
エネルギー | 2,000kcal |
たんぱく質 | 55g |
ビタミンB1 | 1.1mg |
ビタミンB2 | 1.2mg |
ビタミンC | 100mg |
厚生労働省「避難所における食事提供の計画・評価のために当面の目標とする栄養の参照量について」
この参照量は、被災後およそ3か月までの間に特に不足しやすい栄養素を抽出して算定されたものです。おにぎりやパンなど主食中心の食事が続くと、この5項目からまず不足していく傾向があるため、家庭の備蓄でも意識して補うと安心です。なお、この数値は個人の栄養管理の基準ではなく、あくまで食事提供全体の目安である点に注意してください。妊婦や乳児、持病のある人は必要量が異なるため、個別に確認が必要です。
不足しやすいものを補う
たんぱく質
魚・肉・大豆の缶詰、常温保存できる豆製品などを用意します。開封後に保存しにくいため、家族が1回で食べ切れる容量が扱いやすいです。上記の参照量では1人1日55gが目安とされており、たとえばさばの水煮缶は可食部100gあたり約20.9gのたんぱく質を含みます。
主菜を1日2〜3品組み合わせれば、55gという目安に近づけやすくなります。
ビタミン・ミネラル・食物繊維
野菜ジュース、果物缶、乾燥野菜、海藻、豆類などを組み合わせます。飲料は保存条件と糖分・塩分も確認してください。主食に偏った食生活が続くと、ビタミンB1・B2・Cの不足から、口内炎や便秘、疲労感につながることがあるとされています。野菜ジュースや果物缶は、生野菜が手に入らない時期の代替として備えておくと役立ちます。
水分
食欲が落ちても水分は必要です。飲料・調理用の備蓄量は1人1日3リットルを基本にします。
食事制限は代用品を別枠で備える
乳幼児、高齢者、食物アレルギーのある人、治療食が必要な人は、一般的な配給品を食べられない可能性があります。普段使っている食品を多めに置き、商品名だけでなく原材料表示と調理条件を確認します。乳幼児がいる家庭は乳幼児がいる家庭で必要な防災グッズ、高齢者がいる家庭は高齢者がいる家庭で追加したい防災用品、常備薬の備えは常備薬・お薬手帳の防災備蓄もあわせて確認してください。
一度食べて確かめる
長期保存できても、味や硬さが家族に合わなければ災害時に食べられません。ローリングストックに取り入れ、普段の食事で味、量、調理に必要な水を確認しておきましょう。調理せず食べられる食品の選び方は調理不要で食べられる非常食の選び方を参照してください。
ありがちな失敗
主食(米・パン・麺)の備蓄量だけを増やし、主菜・副菜の数を確認していない
野菜ジュースや果物缶を「おまけ」程度にしか用意していない
家族の食事制限やアレルギーを考えず、一般的な非常食セットだけに頼る
カロリーは足りていても、たんぱく質やビタミンが不足していることに気づかない
よくある質問
非常食でサプリメントを備えてもよいですか?
補助的には有効ですが、サプリメントだけでカロリーや満足感は得られません。缶詰や野菜ジュースなど食品からの栄養摂取を基本にし、不足しがちなビタミン・ミネラルを補う位置づけでサプリメントを加えるとよいでしょう。
栄養バランスを考えると、非常食は何品目くらい必要ですか?
品目数を厳密に決める必要はありませんが、主食・主菜・副菜・補助食品の4つの役割がそれぞれ1品目以上入っているか、備蓄品を並べて確認する方法がわかりやすいです。詳しい数量の目安は非常食は何日分必要?人数別の備蓄量を解説を参照してください。
妊娠中や授乳中の場合、備える栄養素は変わりますか?
はい。妊娠中・授乳中は鉄分やカルシウムなど必要量が変わる栄養素があります。国の参照量は一般的な目安であり、個別の配慮が必要な場合は医師・管理栄養士に相談のうえ、普段から使っている食品や栄養補助食品を多めに備えてください。
まとめ
非常食はカロリーの確保だけでなく、主食・主菜・副菜の組み合わせが大切です。国が避難所向けに示す栄養の参照量も参考にしながら、缶詰やレトルトのたんぱく源、野菜・果物の保存品を加え、家族固有の食事にも備えてください。